はる

小さき麦の花のはるのレビュー・感想・評価

小さき麦の花(2022年製作の映画)
4.3
中国本国で〈奇跡の映画〉と呼ばれ、若い世代を中心に異例の大ヒットを飛ばした感動作。
中国の貧しい農村で暮らす夫婦の暮らしぶりを通して、人間の本来あるべき姿や、豊かさについて考えさせられました。
さり気なく中国の体制批判も含まれていて、この国の農村部の土地改革について興味を持つきっかけにもなりました。


無口でパッとしないおじさんヨウティエと障がいのある地味な女性クイイン。二人はそれぞれ家族の世話になっていました。この二人がお見合いをし、半ば強制的に結婚させられます。
家族にとっては体の良い厄介払いでした。

ヨウティエはパンダ型と呼ばれる珍しい血液型Rhマイナスで、度々献血に呼び出されます。クイインは子どもが産めない身体で、障がいのため頻繁にお漏らしをしてしまう社会的弱者です。
そんな二人が助け合い寄り添い合って家庭を゙築いていました。
村民にはスマホを持っている人もいたので、時代的には最近のはずですが、原始的な農業スタイルに驚かされました。ロバを使って畑を耕し、種まきや収穫も手作業。機械を使うのは精麦機くらいでしょうか。まるで日テレの「ザ!鉄腕!DASH!!」の世界です。Dashは自然農法を意識してのスタイルですが、この農村は貧しいから機械も買えない。
もちろん、土地によっては大規模な農家も沢山あるとは思いますが、14億人もの人口を支える一次産業にまだこんなスタイルが存在しているなんて信じられません。

劇中でも触れていましたが、若い人たちは都会に出稼ぎに出て仕送りをして暮らしを助けているとか。そして今、その若い人たちの失業率も上がっていると聞きます。
世界的にも存在感の大きい国なので、この行く末が気になります。
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