緑

苦い涙の緑のネタバレレビュー・内容・結末

苦い涙(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

初回、2回目ともにピーターによる
アミールへのインタビューシーンで寝落ち。
なんでや!
そして初回はピーターの家に
ガブリエルが訪れるところ、
2回目はアミールが
ピーターの家を出る直前に目覚めたため、
ピーターとアミールの蜜月状態の場面は
観ることができていない。
恐らくはピーターが
「焼け石に水」のレオポルド的な
感じ悪さを発揮しているのだろうが、
スッキリしないのでもう一度観たい。

—-

2023.6.27追記

3度目で完走!
その数日前に
「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」鑑賞。

よくもまああの完成度の高いオリジナルを
リメイクしようと思ったもんだよ!
フランソワ・オゾンのその胆力が凄い!
しかも全然負けていないのが尚凄い!

オリジナルは女性しか登場しないが、
本作は男女両性いるので
ものの考え方に性差があると
解釈できる余地ができ、
これを広がりと捉えるか、
散らかりと捉えるか難しいところ。
自分は散らかりに感じたが、
それでも終盤に部屋をめちゃくちゃにする
ピーターの弾けっぷりで本作のほうが好き。
ティーセットを執拗に踏み潰すペトラの
陰湿さも嫌いではないものの、
ピーターくらい暴れているほうが
単純に観ていて楽しかった。

カールが出て行った理由が
今ひとつわからない。
オリジナルのほうでは、
自分に興味を持つ台詞をペトラが発したことで
マレーネにとって心地よいDSの関係が
崩れたことに失望して出て行ったように見えた。
本作でのカールの激しい嫌悪には
それとはまた別の感情がありそうなのだが、
それは一体どういうものなのか……。
唾を吐きかけるという行為には
相手への軽蔑が含まれていると思うのだけど、
あの場面でピーターに失望するなら理解できても
軽蔑までには至らないように思えてならず、
この自分の感覚が邪魔をして
理解に苦しんでしまうのかも。
もっとも、オリジナルへの解釈も
合っているかどうか怪しいけれど。

序盤でピーターと踊っていたときの
カールの恍惚とした表情に、
こいつ今半勃ちなんだろうなぁと思った。
厳しいご主人からの気まぐれなご褒美に
悦んでいるように観えたし、
出て行くくだり以外はDSの関係として
成立しているとしか思えないんだよなぁ。

若い恋人の写真を部屋にでかでかと、
しかもたくさん飾るのは本作のみ。
アミールに捨てられたピーターが
写真のアミールの目に火を点ける画は最高。

ピーターの誕生日に
アミールから会いたいという電話あり。
祝いに行き、
失恋でどうかしてしまったピーターに
当たり散らされたシドニーが
掛けさせていたと取れるが、
ピーターがアミールの誘いに乗らないことまで
読んでいたのだろうか。

人は愛するものを殺すという歌は
本作のみで出てくる。
レコードでも生歌でも絶妙に下手で、
なのに何度も出てきて、
これには食傷した。

ピーターと蜜月期間のアミールの感じの悪さは
「焼け石に水」のレオポルドよりだいぶマシ。
狡猾さより若さに起因している印象。

あと、オリジナルでも本作でも共通で
使われていたもうひとつの印象的な曲に、
嘉門達夫の鼻から牛乳を思い出したのは
自分だけではないはず!
緑