"遺灰"と共に垣間見る孤独
久しぶりにレビュー書くのが難しい作品と出会いました。なんせ主人公が"遺灰"ですから。ノーベル賞作家ピランデッロが自身の死を自覚してから物語は動き出し、彼の遺灰が故郷シチリアに運ばれるまでを描く、異色すぎるロードムービー。随所で起こるトラブルがコミカルでかなりクスッとします。
"死"と直面して目に映るのは真っ白で孤独な世界。それでも一つの喜劇として捉えているからこそ多幸感さえも得ることができる作品。こんなに長い時間"死"について描いた作品が他にあるでしょうか。観る場所とタイミングはかなり大事です。
モノクロパートからカラーパートになり、短編『釘』へと繋がるシークエンスは美しすぎる。
2024.4.9 初鑑賞