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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのrebのレビュー・感想・評価

3.1
中絶が違法だった1968年のシカゴ。2人目の妊娠で心臓の病が悪化してしまう主婦のジョイは、街で張り紙を見つけ、違法だが中絶手術を提供する地下組織“ジェーン“に電話をする。そしてジョイは活動の最前線に立つことになる。
ジョイを演じたエリザベス・バンクスは、金持ち主婦らしい品の良さで意志の強い女性をカラッと演じ、彼女を支援団体に導く活動家はシガニー・ウィーバーとくれば、本作は見事に女性の人工中絶の権利を合法とした歴史的判決“ロー対ウェイド判決“を1973年に勝ち取ったという痛快なお話に出来上がっている。
確かに“ジェーン“という団体は女性たちの救いの神だったと思うが、その費用は高額だったし、手術をしていたのは医者ではない素人だった。
そしてその手術をジョイまでもが、さも簡単そうに、料理でもするかのように手がけるようになる。
事故は無かったと映画では言っていたが、本当にそうだろうか。
団体の様子に焦点を当て、中絶せざるを得なかった女性の葛藤や、手術の恐ろしさなどは敢えてサラッと描いていて、どうしても仏映画の「あのこと」と比べてしまった。
せっかく勝ち取ったこの“ロー対ウェイド判決“を覆す判決が2022年に最高裁で示され、続々と中絶禁止を決める州が出てくるという、嘆かわしいアメリカの現実があるので、論争を起こすには、このくらいエンタメ性をもたせないと、やっぱダメなんでしょうか。
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