ほーんと堕胎禁止って誰のためのなんのための法律だよ!?という怒りに包まれる。
まさしく命懸けな主人公(持病のせいで出産すると死の危険がある)。彼女の境遇に「ならしょうがないか」と納得して、ここからは正当な「おかしい社会」と線引きしている自分に気付き辟易。キャリアと天秤にかけて…とか、予定外の妊娠で…というパターンだとて、自分で自分の身体の自由が選べないのはおかしいというのにね。
自己犠牲の末、亡くなる母親だけが主人公たりうるわけじゃない。逡巡なくみんなが当たり前に「自分を主体」として生きている姿が圧倒的に「今」を感じさせる。
ラストカット、燃え盛る暖炉の炎へ今まで処置してきた患者のカルテが次々投げ込まれていく。虐げられてきた彼女たちの過去は炎のように広がって現代まで伝播する。まさしく胸の中が燃えるような幕引き。
ヒロイックにめそめそしない女たちと、それを率いるカッコ良すぎなシガニー・ウィーバー。そして対比させるように据えられた「印象で判断すれば能天気主婦」である主人公のアンサンブルが良い。