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Alcarràs(原題)のsonozyのレビュー・感想・評価

Alcarràs(原題)(2022年製作の映画)
4.0
『悲しみに、こんにちは』のスペインの女性監督カルラ・シモンによる、スペイン・カタルーニャ西部の町アルカラス(Alcarràs)の桃農家の物語。
ベルリン国際映画祭 金熊賞受賞作。

農家のソーレ一家(キメット&ドロー夫妻、4人の子供(ロジャー、マリオナ、イリスと幼い女の子)、祖父母、叔母グロリア)は、近くに住む叔父シスコ&ナティの一家(2人の子供(パウとペレ))と共に、地主ピニョールから譲り受けた広大な土地で、代々 桃農家を営んでいる。

オープニングは、いつも仲良しのやんちゃなイリス、パウ、ペレがシトロエンの廃車で遊んでいると、突然重機音が聞こえ、3人がマリオナに報告に行き戻ると車がどけられているのを呆然と眺めるシーン。

地主ピニョールが広大なこの地にソーラーパネルを敷き詰める計画を進めており、ソーレー家の祖父・曾祖父の時代に書面を交わさずに譲り受けた土地だったため、農業をやめて立ち退かねばならないという状況になっていたのだ。
書面を交わしていない事で祖父を責めたり、苛立つキメット。
ピニョールは、ソーラーパネルの維持管理をしてくれれば立ち退く必要はないと提案し、その話に乗る叔父シスコと、キメットとの関係が悪化し・・・

祖父に寄り添うむっちりガールのマリオナと、父や叔父をしっかり手伝っている耳ピアスのロジャーの視点で、父や祖父の心境を捉えているのが素晴らしい。
雨の日、ソーレー家とシスコ一家の全員が集まり、小さな子たちが祖父に歌を歌うシーンは泣けます。

出演者の多くはプロの俳優でなく、現地のオーディションで発掘したようで、映画的なプロット/演出ではなく、ドキュメンタリー的なリアリティを感じさせる作品でした。
日本公開はないのかな?・・

トレーラー
https://youtu.be/5__6yoPMBRY
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