一家が長年培い育て上げた桃の園が、土地を借りた契約書が無く、地主のソーラーパネル事業の為取り上げられてしまう最後の桃の収穫の夏。社会的に農作物の収益は下がっていて、一家には抵抗するにも移転するにも資金がない。
契約書を交わさなかった祖父には罪悪感があるようだし、一家の長男は取りこぼしがないよう桃の収穫に躍起になる。生活の為地主に持ちかけられたパネルの管理に興味を示す者もあり、家族はバラバラに。
何が起こっているのかまだ理解できない幼い娘や、農作が好きなんだろう父を手伝う息子、祖父が大好きな思春期の孫娘、皆、その土地で土や樹木と戯れ生きてきたのに、眼の前で失われようとしているやるせなさ。ふりかかった社会情勢の厳しさと残酷さに辛く悲しくなる。
美しい桃農園なのだ。
害獣として駆除されるうさきたちの生息地も奪われるんだよな。