おぬすび

僕の名前はルシアンのおぬすびのネタバレレビュー・内容・結末

僕の名前はルシアン(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

『僕の名前はルシアン』というタイトルと予告映像から、サイコパスの連続殺人犯を中心に展開するサスペンスを想像していた。
でも実際に鑑賞してみると、監督が撮りたい画を繋ぎ合わせたアートフィルムの印象に近かった。

養護施設育ちで、ピンサロに勤めているマキちゃん。
あかねとお店で再会したときに初手から「あかねんちはお金持ちなんだから、こんなところで働く必要ないでしょ!(笑)」と自虐めいたことを言う。
それが、ちょっと自己肯定感が低めな女性なのかなとかんじられて。

せっかくあかねの家にお泊まりして、会っていなかったぶんの時間を埋め合ったように見えても、
漠然とした引け目を消すことはできなかったんだろうな。
ゲームセンターで遊ぶあかねに言い放った「あんたなんか大嫌い」のあとにも、じゅうぶん恵まれてるのに愛されてないような顔して……なニュアンスの言葉が続いていたと思うし。

だけどどれだけ立派な家だとしても、屋根の下にある暮らしが実際どんなものかなんて、誰にもわからないよね。
あかねのお母さんだって、いつも大ぶりのダイヤの指輪と高そうなセットアップを着こなして外出するけれど、
夫に構ってもらえない寂しさやみじめさを隠すための鎧に見えるもの。

表に出すか出さないかの違いだけで、みんな無性に満たされなかったり、何かに縋りたくなったりしているのかも。
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