春とヒコーキ土岡哲朗

MEG ザ・モンスターズ2の春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)
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後半がみんな強すぎて笑ってしまう。

堂々と「ジュラシック・ワールド」だった。主人公たちは戦う相手でもある巨大生物への愛があり、環境保全を意識している側。一方、主人公側の事業にかかわりながら、自分の利益のために巨大生物を利用しようとする。まるっきり似たような構図で分かりやすく壮大にする方法を確保して、そのメジャー規模でサメ映画と筋肉映画を実行している。

後半からはジェイソン・ステイサム以外も戦闘能力が高すぎるのがおかしくて、笑いながら受け入れて楽しんだ。最初に一人の登場人物が、敵を華麗に倒すシーンは、「敵を華麗に倒す妄想をしている」という妄想オチのシーンかと思ったら、本当に敵を華麗に倒して次に進んだ。経営者タイプの男が、かなりの近距離で放たれた仲間の銃弾をちゃんと避けたところは笑ってしまった。
モンスターもので話が進んでいくとありがちな、人間VS人間になってしまうパターンかと思ったら、それをぶったぎってモンスターが暴れてくれるのが良い。悪人のボスとの決着がクライマックスより手前で終わり、それも「サメに食べられる」という形で、結局「メグが怖いし危ない」という印象で塗りつぶされる。結局はサメVSジェイソン・ステイサムだという軸を履き違えないのが良い。巨大すぎて全身が見えないタコもなぜか登場し、そいつも暴れ回る。なぜみんなして海上まで来て暴れるのかは不明。それでも、いろんな見せ場が生まれているので良い。島での敵や生物との闘いは、緊迫なのにギャグがあり面白いし、ギャグを入れるにしても不釣り合いなくらいドタバタな笑いなのも、面白いからぶちこんじゃうんだ具合が好き。
社会的テーマは設けたけど、個人のドラマは薄かった。前作が、ヒーローになるためには犠牲を払う必要があり、チヤホヤされないことも覚悟しろ、という内容だった。今回は、みんな戦闘能力が高すぎて苦悩のないヒーローになれてしまっているため、前作ほどドラマとしての厚さは感じなかった。サメ映画なのにテーマがしっかりしているのが前回の好きな点だったので、面白かったけどそこは寂しかった。