あさぎりたまり

氷がすべてを隔ててものあさぎりたまりのレビュー・感想・評価

氷がすべてを隔てても(2022年製作の映画)
3.4
デンマークの探検家「アイナー」が、先に出発して戻らなかった探検家グループを探しに行く内容で、主人公たちが何かを成すと言うよりは訪れる孤独と恐怖に立ち向かっていく実話ベースのもの。
現在カナダに住んでいる私はマイナス40度も経験した事があるので、より怖い気持ちになった。マイナス40度では身体から発せられる汗(水蒸気)がまつ毛や髪に当たった瞬間、凍りついてしまうので顔の毛が真っ白になってしまいます。

国の偉い人「君たちは何回北極に行ったのかね」
先にアイナーを置いて帰国したAさん「4回です!」
偉「隊長と共に残ったアイバーセンとやらは?」
A「彼は今回が初めてです!」
偉「その彼がなぜ隊長の相方として残ったんだ?」
A「彼が志願したからです!」
偉「でもまぁもうこれ以上予算もねえしなぁ」
A「いや!彼ら生きてるんで!探しに行きますから!」

アイバーセン「隊長しっかり!」
隊長「あぁぁ女性が見える…俺の女だァ」
アイバーセン「隊長ォォ!!」

みたいなやり取りが続く極限状態の人間関係が描かれているが、正直北極圏のグリーンランドしかも今どの辺にいるかなんとなくでしか分からない状態でいつ助けが来るかも(来ないかも)しれないとなると、人間徐々に壊れるよな…って感じ。
これが実話だと思うと本当にゾッとする。
淡々と○○日目、という表示が3桁になり2年目となり、いやもうダメだろ…と思わせられ、主人公たちの心の支えが少しずつ崩れたいく様は本当に辛かった。

ちなみに主人公であるアイナーはその後、グリーンランドに町を開拓したり先住民の方々とうまくやり取りをして表彰されているよう。
個人的にはよくまた戻ったな…あんなにも閉じ込められていたのに…探検家ってのは凄いんだなぁ。