このレビューはネタバレを含みます
PLAN75がなんの疑いもなく世間に馴染んだ世界が描かれる。
私たちがまず見せられるのは、このPLANに対し躊躇なく契約を進める若者と、それを受け入れる老人。
その光景がショッキングであると同時に、流れるまま生きてしまうこの世界とどこかリンクする。
人はいつから、歳を重ねることを成長から老いと表現するのか。
もう少し頑張りたいと思う主人公の意志にやんわり拒絶する社会も酷に映し出される。
役者の方々の放つ生に対するやり場のないエネルギーが、唯一この物語に私を引き込んでくれる要素だった。
とても静かな映像に刻まれる光の数々も印象的。映像の質感やカメラワークは好みのものだった。
ひとり暮らしの部屋に流れる無の静けさは、年齢問わず共感する孤独が潜んでいてゾッとした。
一度観ただけでは飲み込みきれない要素が多いが、語りたくなるポイントが沢山散りばめられた映画。
この映画を観に足を運んだご老人たちを見ていたら、この物語以上のもの悲しさを感じ、帰宅。。