このレビューはネタバレを含みます
高齢化社会の問題に直面している現代だからなのか、妙にリアル、有り得なくもないよなと思いながら観てた。
高齢だから仕事も辞めさせられるし、高齢だから友達もいなくなる。高齢だから次の仕事すらきちんと探して貰えないし、生活保護を勧められて、家族や近しい人がいなければ孤独の中生きるしかない。時には高齢であるというだけで命が奪われる。悔しいけどこれらはフィクションだと言いきれない。
死を決意した後の15分間の電話だけが楽しみになるような、そんな日々を今まで送ってきた人の気持ちが完全に理解できるかと問われればわからないけれど、生きていたい、もしくは死んでみたいと思うことは、すべての人にとって間違いじゃないし、もしかしたらそう考える方が自然なのかもしれない
だけど人間として生まれた以上、ひとりの人間がいなくなるのってかなり大きなことで、それは周囲の人間にとってもそうだし、自分にとっても実は一番当てはまることであって、「死」の選択肢は「自分」全体に重くのしかかってくる
考えて考えてその選択肢を選んでも取り留めもない理由でやっぱりやめよう、これは選ぶべき道じゃなかったんだ、そう思い込ませて選ばないようにするくらいには恐ろしい選択肢だし、ある意味で生きていた時に持てなかった勇気を持たなければならない
どうして死ぬことをやめるのかどうして生きようとしたのかどうして生きているのか、それがわからないうちはとりあえず生きておいてもいいんじゃないかとも思う
