誰も笑顔になれない映画。そりゃそうだ、テーマが重い。
いろんなキャラクターが出てきて、いろんな事情から交わり合うのかと思えばそんなことはなく。ただ淡々と各々の死生観や生き方に向きあう2時間。
もちろんその中にもドラマはあって。ラストシーンの後、倍賞千恵子さんはどうなってしまうのか。そんなことばかり考えてしまう。
河合優実さんの1カット、あそこに観客へのメッセージが全部こもってる気がする。ゆえに息がとまる。個人的ベストカット。
その他のカットも、ほとんどチェストより上で、イヤでもその人の気持ちを考えてしまう。それが狙いなんやろうけど、時に圧になって胸が苦しくなる。
冒頭の一節「国家のために死ぬことを誇りだと思う国民だから」が後期高齢者にとってレガシーになっているのか、三つ子の魂百までなのか、それはすごく気になる。
にしても後期高齢者と社会や友達、その他いろいろとの距離感をオーバーに描くなーと思ったけど、これをフィクションやと感じることが社会問題なのかもしれない。
演出としても勉強になることだらけの良作。もっと評価されてほしい。