ちろる

アストラリウムのちろるのレビュー・感想・評価

アストラリウム(2020年製作の映画)
3.4
海の砂浜で大切に貝殻を拾って、穴を掘ったらそこは自分だけの宇宙。
魚を泳がせて、水草入れて、小さな宇宙は私だけのもの。
永遠にそこにある宝物のような気がしてた。

しかし潮が満ちて、宝物は永遠ではない事を知る。
魚も水草も、きれいな貝殻たちさえ海に飲まれてどこかへ消えてしまった。
幸せな瞬間はその時にしか掴めない。
幸せな瞬間は永遠ではないという事を知る。
だけど、その幸せのかけらを無くさなければ、何度でも、何度でもその瞬間は心の中に反芻できるはず。

地上の映像でさえも、まるで海の中のように不確かな青い世界に包まれていて、少女の瞳は潤んでるように見えていた。
とても不思議な世界観だけど、描かれるのは至極シンプルな自然の摂理で、残酷さと微かな救いが優しい絵で表現されている。
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