スローモーション男

じゃりン子チエのスローモーション男のレビュー・感想・評価

じゃりン子チエ(1981年製作の映画)
4.5
 もうこんなアニメ二度と作れないだろうと観てるとき何度も思いました❗

 大阪の下町で繰り広げられる小学生のしっかりもの女の子チエと、博打打ちで自堕落な父親テツを中心にした人情劇。

 高畑勲の初期作である本作はアニメ的な遊び心、下町の庶民たちを瑞々しく描き出しリアリティ溢れる作品にした。

 テツが働かないから、小学生チエが働いていたり、暴言、暴力、犯罪、未成年の飲酒など今では絶対アウトの表現が多々あります❗

 でも、その一方で昭和のノスタルジックな雰囲気があり、テツの竹を割ったような性格は、みんなに愛される理由が分かる。
 自分に素直になれない人々が関わる。

 最後は人間ではなく、猫のコテツとアントニオJr.の闘いによって終わりますが、それがこの物語を感動的にさせます。

高畑勲監督は、多くの関西芸人を声優に起用したがあまり上手く出来なかったらしく、その後『火垂るの墓』や『おもひでぽろぽろ』の方言の面白さを徹底してます。