fishmutton

ドント・ウォーリー・ダーリンのfishmuttonのレビュー・感想・評価

4.8
なんだかとても良かった。
題名から、全く期待してなかったのが良かったのかも。
好きなタイプの、胃がもじょもじょする心理スリラー。信じてもらえない系。

“ビクトリー”というコミュニティで完璧な生活を送る夫婦たち。飛行機の墜落を見かけて立ち入り禁止区域に入った日から、アリスの完璧だった日常が綻び始める・・・。
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洗脳されたコミュニティと異分子となった主人公、という話が私は好きなのかも知れない。
私にしては珍しく、何回も観て咀嚼したい映画だと思った。

均一すぎる世界が奇妙で怖い。
男は外・女は内を理想としたノスタルジックな世界。
この世界の秘密を知りたくて引き込まれた。
不気味な風景と意味深な映像、音楽が不安を煽る。

部署は違えど同じプロジェクト“ビクトリー計画”を一丸となって推進しているらしい、一斉出勤の夫たち。それを見送り、決められているかのように完璧に同一な家事をこなす妻たち。
夫たちの仕事の詳細は“極秘”で、妻たちも知らない。夫たちの留守の間、妻たちは家事をこなし、バレエ教室に行き、買い物をして、カクテル片手に噂話に花を咲かせる。

シェリー主催のバレエ教室の緊張感、不気味。シェリーの絶対的存在感?というか。フランク夫妻のみが絶対的存在であるというか。

精神的に追いつめられていくアリスにこちらも息苦しくなった。

仮想現実に行っている間、肉体の管理が気になる。
ビクトリー:フランク夫妻による、理想の世界を体現するコミュニティ。仮想現実。基本単位は夫婦。夫は妻の健康・行動の責任を負う。ビクトリーで死ぬと、現実世界でも死ぬ。男が死ぬと、妻は殺される。
本部:立ち入り禁止区域にある。現実世界とのゲート。
アリス:主人公。妻。本部に触れ、奇妙な記憶や映像のフラッシュバックが起こるようになる。マーガレットの死と、それを処理する赤い人々、彼女の死を隠蔽する世界に疑念を抱き始める。元外科医。
ジャック:アリスの夫。元無職。フランクの声明を聞き、共同体“ビクトリー”への参加を決めた。恋人のアリスの同意なく、彼女と共にビクトリーへ行く。
バニー:アリスの友人。子供が二人いる。実は自ら望んでこの世界に来たので、この世界の秘密を知っている。
バグ:アリスの友人。妊娠中。子沢山。
マーガレット:世界の秘密を訴えていたが、周囲には錯乱していると思われていた。首をかっきり自殺。
バイオレット:新入り妻。
シェリー:フランクの妻。その後、彼女があの世界を回していくんだろうか。あの世界、夫なしでも回していけるんだろうか(構造的に)。
フランク:“ビクトリー”の創設者。絶対的なコミュニティの長。アリスを煽る。

“完璧な世界”が所謂“古き良き時代”をトレースして描かれるのはなぜだろう?ノスタルジーは記憶を美化するから?
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