ボブおじさん

僕らの世界が交わるまでのボブおじさんのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.9
観ていて歯痒くなる様な親子関係。だが、親子なんて案外そんなものかもしれない。「ソーシャル・ネットワーク」など一度見たら忘れられない、印象的な個性派俳優ジェシー・アイゼンバーグのこれが監督デビュー作。

時代や国に関わらず、近くて遠いのが親子の関係。映画を観ながら〝こんな親子関係嫌だなぁ〟と思いながら、気がつけば〝自分と親〟あるいは〝自分と子〟との関係を思い返してしまう😅

先入観で勝手に〝引きこもりの問題児〟だと思っていたが、息子の方は、この年頃の子としては親子の会話もあるし、やりたい事もハッキリしている。ただSNSのフォロワー相手に自作の歌を披露して、狭い世界の中で承認欲求を満たしている。

むしろイタいのはDVの被害者たちのためのシェルターを運営している母親(ジュリアン・ムーア)の方。自分が思い描く息子になってくれない事に苛立つ彼女は、息子の音楽や配信活動にまるで興味がない。

仕舞いにはシェルターに逃れてきた女性に付いて来た、息子の同級生に自分の〝理想の息子〟の姿を見出し、あれこれと行き過ぎた世話を焼く。この描写がハッキリ言って、イタいを通り越して怖いくらいだ😰

世代が異なり価値観もまるで違う2人は、互いに自分の狭い世界の中に留まり、すれ違ってばかりで交わることは決してない。

だがよくよく見るとこの親子、自分本位で空気が読めず、周りが見えていない所などそっくりな所も多いのだ。

ラストで日本語タイトルが示す通り2人の世界が交わるのだが、どの様な形になるのかは映画を観てのお楽しみ😊