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ザ・ホエールのhokaのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

この映画で描かれているObesityは精神疾患という側面もあるが、主に経済的な問題で、ファストフードなどCarbやTrans fatやSodiumなど、食生活の偏食過多で語られるアメリカの社会問題だ。
パートナーの自死により精神的に大きなダメージを受けたとはいえ、オンラインながら大学で教鞭を取れる状態にあるとは思えないのにこの設定にしたのは、B•フレイザーの特殊メイクでのインパクトによる訴求効果と彼の家のリビングルームというワンシチュエーション演劇が原作だからだろう。だから彼の肥満体はどうしても取ってつけた感が付き纏う。

リズの立ち位置も中々理解が困難だ。近い人間の自死という共通点はあるものの、チャーリーは間接的にでも兄を死に追いやった張本人だ。生きる気力を失っている人間を最後まで支えようとするモチベーションは何なのだろう?こうなる前に打てる施策は持ち合わせていなかったのだろうか?

荒ぶるティーン、エリーは見た目が普通に良い子なので、もう少し外見から分かり易くグレた方が良かった気がする。

『白鯨』の引用も、白い巨体以外特に共通点は見出せない。確かにクジラは進化の過程で大きな体躯を支えられないから、生息域を海に求めたとされるが、モビーディックは孤高で、チャーリーが感じていたのは孤独だ。

最期の娘への行動も、まさしく彼が言った通り“何か正しい事をした”という証が欲しいというエゴイズムからの衝動ではないのか?

B•フレイザーの熱演は、疑いの余地が無い。
見事だと思うし、最期二足で立ち上がって見せたのは、人間である事の証明だったと思う。
ただこの映画から何を感じ取ることが正しいのか、それを掴み取るリテラシーが、残念ながら私には無い。
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