なおこ

ザ・ホエールのなおこのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
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理解するのが難しいところも多々あったけれど、観てよかった。

「なぜ病院に行かないのか。これ以上周りの人を困らせたくないなら努力しないと!」と、主人公に対してもやもやしながら鑑賞。かたくなに治療を拒んでいたのは、彼が緩やかな死を望んでいたからだという映画解説を見てなるほどと。
しかしそうならば、なおさら周囲の、特に一番彼に寄り添い続けたリズに対して切なくなる。懸命な延命治療も虚しく、そんな彼女でさえ、チャーリーの悲しみを癒すための過食に手を貸してしまうんだもん。そこには生き続けて欲しいと思いながらも、いっそ死んでくれたら楽になれるという本心もきっとあっただろう。

解説によると、”本心”もこの映画のテーマの一つとなってるとのことで、
とても身近なのに普段考えないテーマでなかなか面白い!

本心とは、
そもそも目に見えないふわふわしたものだから、それを形にして、誰かに伝えるor伝わらないようにする、なんてなんて難しい試みだろうと思う。思った通りに相手が受け取ってくれるとも限らないし、
伝えようと意図して、あるいは思わぬ形で、ついうっかり伝わることも。自分の心に生まれてるものなのに、勝手に動いちゃう生物みたい。
醜い本心もあるだろうし、美しい本心もあると思う。
ことばとしての本心では、
チャーリー(父)からエリー(娘)への
「これ以上望ましいことがないほど素晴らしい娘だ」
というものが印象に残った。
最後のシーン、エリーが詩を読む気になってくれてよかった。
エリーがチャーリーの要求を信じたことがきっと、チャーリーの最後の救いとなった

エッセイが書きたくなった。
なおこ

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