このレビューはネタバレを含みます
同年のアカデミー賞作品群がイマイチだったのでなんとなく見逃していた作品だったけど、もったいないことをしてしまっていた。
露悪的な人間観の集積がラスト5分で反転する見事。このラストに辿り着く為には、また残り全ての陰鬱な時間に戻ることも厭わないと思わせるだけの力強さをこの映画は有する。
日常では天候が人の気分を左右するものだが、こと映画の中では人の心模様こそ天候をも変え得るものなのだということを久々に思い出させてくれた。
あのラストだけで5億点なのだが、敢えて云うなら、あまりにも作り物感が強い虚構の身体性が物語への没入を邪魔してしまうところが惜しいとも思う。