ダイヤモンド

ザ・ホエールのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.0
「彼の人生のすべては その一頭の鯨を殺すこと
悲しいと思う
なぜなら鯨には感情などないのだ
ただ大きく 哀れな生き物だ
エイハブのことも気の毒に思う
なぜなら 彼は自分の人生が鯨を殺せば よくなると信じているからだ
でも実際には どうにもならない。

この本を読んで 自分の人生を考えた」

人は人を救えるか。人は自分自身を救えるのか、という命題_。

恋した男子生徒を選んで、妻と娘を捨てたチャーリー。
そのパートナーが死んだ後、彼の自暴自棄になり、生きることを放棄した。
その末、おぞましい姿になった。

そんなチャーリーにとって、エリーは今も愛してやまない娘。父に捨てられたことにより人間不信に陥っている彼女をなんとか救ってあげたい。でも娘は父に対して罵詈雑言を浴びせる。

それでもチャーリーはめげずに、娘を思いやる。彼女を救えれば、自分も救われるかのように。

「どんな人であれ 誰かを気にせずにはいられない。
人間はすばらしい」。

すべての咎を自らの体に背負い込んだような、鯨のような巨体が最期に浮き上がる。

アカデミー賞主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザー。『ハムナプトラ』のイメージしかなかったけど、すごい変化(特殊メイクあり)。それでも、過去に犯した後悔や自らの姿を自覚しているネガティヴな心情、娘を想いやさしさなどを見事に表現。受賞にふさわしい演技でした。