しろみさかな

ザ・ホエールのしろみさかなのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

苦しいくらいにラスト泣いてしまいました。しんどかった〜。この作品のすごいところは、ほとんど家の中のシーンしか無いし、登場人物もめちゃくちゃ少ないのに、主人公のバックグラウンドが分かるし、個々の人達の思いが分かるところです。演技力や見せ方で、こんなにディープな内容になるのかと、驚きましたし涙が出てしまうくらい心揺さぶられてしまいました。すげぇや。
でも綺麗な感動じゃなくって、めちゃめちゃリアリティある、綺麗事じゃ無い感動というのか。何にも美化してないところが、この作品の良さでした。ピザをデリバリーしてくれる男性が、人目巨体な主人公を見た時の表情が、おぞましいものを見たリアルな表情でした。娘が吐き捨てる言葉も、嘘つきな宣教師の強盗まがいの少年も、元嫁との関係性も、全部美化されてなくてリアルでした。zoomでインカメにした時の生徒達の表情、スマホで動画を撮り出す反応。痛々しい。でもわたしも主人公を見ながら、おぞましい姿や…と思ってしまいました。これがリアル。こんなにリアリティのある作品は出会ったことがないです。
悲しい主人公、ある意味自傷行為的な過食を続け、生きることよりも自死を選んだ主人公。自分を許せなかったんだろうなと。しかも死んで好きな人のところに行きたいわけではない、こんな姿見られたくないんだと言うセリフに、共感とグサグサ胸が痛くなりました。ここもめちゃくちゃに美化していなくて、こんなリアリティのある表現ってなかなか無いよなぁと思うばかりでした。でも最後の最後に、娘と向き合えて、少し自分のこと許せたんじゃないかなと思える少し明るい終わり方でホッとしました。主人公が大切にしていた野生の鳥さんの餌入れをぶち壊した狂気的な娘も、結局はお父さんっ子だったからこそ、裏切られたと思った気持ちが強かったんでしょう。大切な人裏切られたから、大切な人の大切なものを壊したいという、狂気的な感情。これもわからんでもない。彼女が今後素直に真っ直ぐ生きてくれそうな、眩しい光に包まれたラストでよかったです。
むっちゃしんどかったので2回目は見ないかもしれないけれど、久々に号泣させられる心揺さぶられた作品を見ました。オススメ。是非。
余談、人は誰しも許して欲しいし許されたいと思っているんですよね。リズが介護する理由もそうだなぁと見ていて思いました。自分で自分のこと、いつか許せるのかな。
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