福福吉吉

ザ・ホエールの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
オンラインで英語講師を行っているチャーリーは恋人の死によって過食を繰り返した結果、歩行器なしで歩けないほどの肥満状態になり、余命僅かの状態であった。親友の看護師のリズから病院を進められるも、チャーリーはそれを拒否し、ずっと会っていなかった娘のエリーとの再会を果たすが...。

◆感想◆
極度の肥満状態で余命僅かな主人公が残された日々を娘と過ごそうとするストーリーとなっており、主人公の外形的な印象の強さと最後に娘のために生きたいという心情がストーリーをシリアスで緊迫感を持たせていました。

主人公のチャーリー(ブレンダン・フレイザー)はまともに生活するのも困難な状態の身体になっていて、なぜここまでなってしまったのかと思ってしまうほど想像の及ばない姿になっていました。本作ではチャーリーと恋人との過去について描かれていませんでしたが、恋人の存在の大きさがチャーリーの姿に現れているように思いました。

本作のストーリーはチャーリーの自宅に次々と人々が現れ、それぞれの思惑や感情をあらわにしていくことで進んでいき、それによりチャーリーの心情が明らかになっていきます。親友の看護師のリズ(ホン・チャウ)、宗教の宣教師のトーマス(タイ・シンプキンズ)、娘のエリー(セイディー・シンク)が現れるのですが、たまたま通りがかっただけのトーマスがストーリーに意外な展開を加えていて面白く感じました。

娘のエリーは8歳の頃にチャーリーが恋人と駆け落ちして離れ離れになっていて、それ故にチャーリーに対して反抗的な姿を示します。かなり憎たらしい人物として描かれていて、お世辞にも好感は持てません。チャーリーはひたすらにエリーを肯定するところに私自身は違和感があって、その点は最後まですっきりしませんでした。

腑に落ちなかった点として、チャーリーが頑なに病院へ行くことを拒んでおり、それが回復の見込みがないからなのか、そのまま死を望んだのか分からなかったことがあります。チャーリーはお金の話で全てを娘のエリーのものとして、そのお金を治療費に当てたくなかったのかなとも思いましたが、彼が生きようとしていないことが心に引っ掛かりました。

終盤はチャーリーとエリーの心情がしっかり伝わってきて、作品の中に引き込まれました。

とても良い作品だったと思います。登場人物たちの心情が伝わってきて見ごたえがありました。

鑑賞日:2024年11月30日
鑑賞方法:U-NEXT
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