土偶

ザ・ホエールの土偶のレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.4
職場の映画乙女が観たといっていたので観た。
登場人物の罵倒も失言も皮肉もすべて聞き流さずに聞き、感情的な内容も宗教的な内容もそのままちゃんと受け止める知性と理性と感性を持ちながら、ここまでのセルフネグレクトに陥るのは不幸としか言いようがない。
しかし逆に言えば彼のその知性と理性と感性、加えて「優しさ」が彼自身をそこまで追い込んでしまったように思える。
とは言え、友人も仕事も家族も住むところもある主人公がいまいち不幸のドン底あるとは思えなかった。
いつも雨降ってる上に登場人物も場面もほとんど変わらないのにひたすら熱中してみさせるだけの何か強いものがあった。
映画で観た理想的な死に方ベスト3に入りそうな感じ。これはまさに昇天だ!
アメリカの医療制度がこんな風な医者にかからず死を選ぶような人を大量に作っているのだろうなと想像できる。日本の皆保険制度と高額医療制度があればこのような人は生まれにくいだろうなと関係のないことを思った。
この映画を見て井伏鱒二の『山椒魚』を思い出して久しぶりに読んでみたが、状況こそ似ているものの、山椒魚よりもこの主人公の方がよっぽど高潔だった。
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