・ジャンル
ドラマ
・あらすじ
宗教団体「ニコニコ人生センター」の信者として“孤島のプログラム”と称された無人島での生活をしているオペレーター、議長、副議長の3人
日々、夢を記録し共有する修行に励む彼らだったが教団から送られる食料も僅かでありその暮らしぶりはさながらサバイバルの様だった
それもそのはず、本土で教団はその過激な活動から警察に追い詰められ破綻寸前であった
議長はその事を島に流れ着いた週刊誌によって知るがオペレーターも副議長も信じない
そんな最中、事件は起きる
島に漂流してきた者達が突如現れ、紅一点の副議長が犯されかけてしまったのだ
その出来事は禁欲を貫いてきた彼女の欲求を刺激し、密かに好意を抱いていたオペレーターもまた性欲に呑まれていく
奇しくもその時、議長は副議長との淫夢を見る様になりその責任を彼女へと求め異常な要求をする様になり…
・感想
絶海の孤島で共同生活をするカルト教団の3人を描いたエロティックなドラマ作品
山本直樹による同名の青年漫画(未読)を実写化した物となっている
城定秀夫監督の作品という事もありエロの占める割合がかなり高く、その割に尺も長めなのでどう着地させるのか不安に感じていたけど意外に良かった
社会から脱落し思考停止して教団に全てを委ねるというカルトに限らず宗教を盲信する人々に見られる心理
外部の刺激と禁欲の限界でいとも容易くほつれて崩壊していく信仰
その末に洗脳が解けていき得られる束の間の生の喜び
そういった描写がなかなか面白いし白石晃士監督作品でお馴染みの宇野祥平さん演じる議長のなまぐさ坊主的な人物像もコミカルさと生々しさの塩梅が見事
ヒロインである副議長こと菱子も変に容姿端麗過ぎる女性が演じていないのがまたイイ
作中で頻出する夢という概念の扱い方も巧かった
夢の記録による暴走、夢や幻覚を通して浮かび上がる信仰への疑念、というカルトに関わる部分だけでなく島での生活やオペレーターと副議長の共依存、そして全てが終わった後のオペレーターが見る夢
1つの概念に様々なレイヤーを持たせていたのが映画として良く出来ていた
これらは社会から隔絶された環境が舞台であるからこそ成し得た事だろう
邦画はよくジメジメしている、という特徴を揶揄される事が多い
でも本作に関してはそれが功を奏していた印象
エロを描く為の濡れ場ではなくしっかり心理を描く為の道具として性描写が多用されていたのがそれを象徴している様に感じた
また終盤で教団及び信者の暴走がゴアやテロの描写を交えて描かれていたのも好印象
そこを省いていたらもっとふわっとした出来になっていたと思う
加えてオウム真理教だけでなく人民寺院の要素も加えられていたりという捻りも2人の見てきた夢としての信仰の儚さを引き立てていて効果的な物になっていて安直な引用となっていなかったのも好きだったポイント
カルト教団に関心があるか否かで大分感想が変わってくる作品だろうなとは思うけど個人的には良作
そこそこ長いけど無駄なシーンも少なく飽きずに観られた