もりひさ

ビリーバーズのもりひさのレビュー・感想・評価

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
4.0
心の傷というか心の穴というか、今まで生きてきた中で生じたそれらに身を滅ばされぬよう呑み込まれぬよう、はたから見たら異常だと思えるようなことであっても当人からしたら正常を保つためのことだからと頭ではわかっていても、観ていていかんともしがたい気持ちになってしまった。何せ気が触れる人続出で。

否が応でもそう思わせてしまう、主演3人の迫真の演技にただひたすら脱帽。

忌まわしい記憶を無かったものとして都合よく消去できないし、忘れたふりをしても言動なり感情なり日常のどこかしらで歪んだ形であらわれてしまう。

どう折り合いをつけていけば良いのだろうか。

間違っていたとしても自分のためだけに安定を求めて前に進むか(権力と権威?)、不安定でもそこにとどまるか(現実逃避?)、それとも自分を犠牲にしてみんなのためにひたすら頑張るか(滅私奉公?)。
主演3人のそれぞれの最後の選択(と勝手に解釈してます)だけども正解などないし、そのときそのときで、理性や本能で絡みに絡まった紐をほどくように、言葉を紡いで考え続けるしかないのかなぁと思いました。

多少なりとも真っ直ぐにしてみた景色は、良くも悪くも変わっているはずだと信じながら。
もりひさ

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