KeiRalph

ハッチング―孵化―のKeiRalphのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
3.5
美しいフィンランドの森の中、とある出来事により少女が見つけた卵。やがて生まれたヒナはあらぬ姿で成長していき、やがて惨劇に…という「地獄のたまごっち」。

表層的な家族愛を演じる家族。最も、そのプロデュースは母親で、かなり暴走気味。見た目仲本工事みたいな夫はやたら妻に寛容で、仲本工事ジュニアみたいな息子は母親の姉贔屓に辟易。その姉は、母親の庇護のもと、体操選手として成功する事を信じている様子。

そんな環境に、一羽のカラスが舞い込む事から、隠されていた危ういバランスが崩れていく。北欧感丸出しの清楚な空気感に、グロだのゴアだのが割り込んでくるイヤな演出は良かった。特筆すべきは少女の餌付け。監督的に、これが一番やりたかったのでは…と思わされる程、しつこいくらい繰り返される。目を背けたくなるものを見る事こそが真の成長なのだ!…と言いたいのかどうかまでは存じませんが。

その分、クリーチャーデザインや特殊メイク技術においては丁寧さが伺えたのは良かった。

ただ、そういう「見せたいもの」の拘りがはっきりしている分、日常的な部分のディテールに語るべきものがあれば良かったのにな…とも感じました。舞台となる森のシチュエーションや、妻の暴走を止められない夫、間接的児童虐待、鳥が鍵となる点など、どれをとっても「ヘレディタリー」を彷彿させるのも、オリジネーターとしての新鮮味が感じられ無かったのが残念。ラスト後の展開が少しでも垣間見れていればなぁ…
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