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ハッチング―孵化―のせっのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
4.0
この世に楽園なんてない。

幸せな家族の様子を動画投稿する母親のために毎日新体操を頑張るティンヤがある日卵を拾い、それをこっそり育てる話。

北欧の映画って、まさにこのポスターのような可愛いインテリアに囲まれてみんな幸せに暮らしてる住みやすい国のイメージをジワジワと残酷に壊していくのがお家芸かなと思っていて、この世に楽園なんてないんだなと思わせてくれて安心する(笑)

今作そのまま内容変えずに日本でリメイクしても何の違和感もなく見れそうなように、北欧は割と日本にも通じるところがある気がしている。他の国と比較すると格段に治安は良いし道は綺麗人も優しい。でも住んでる日本人としてはそこまで良い国とは思えない。住みやすい国にいたって、幸せとは限らない。

お母さんが外に向けて"幸せな家族"を発信している間に、内側ではとんでもないドロドロしたものが生まれているように、外側と比較してあーだこうだ言ってるうちは一生満たされることはなく、まずは今いる場所としっかり向き合え、と北欧の楽園から言われてるような気がしました(笑)

クリーチャー造形もちゃんと気持ち悪くて、特にティンヤの吐き出した汚物しか食べないという設定が、ティンヤの負の物でしかできていないと完璧に表現してて良かった。まぁめっちゃ気持ち悪かったけどあのシーン。
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