ハレルヤ

ハッチング―孵化―のハレルヤのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
3.6
フィンランドに住む一見何の不自由も無さそうな家族。その長女のティンヤはある日森の中にある謎の卵を持ち帰る。それが孵化し、中から現れた存在が一家の暗部を抉り出していくスリラー映画。

フィンランドから超異色の作品が登場。SNSで幸せな家族の様子をアップする承認欲求が強い母親の期待に応えるために必死な毎日を送るティンヤ。その母も不倫していてティンヤの心は不安定に。そんな中出会った巨大な卵に興味を持ち、それを温める。

やがて中から大きな謎の雛鳥が誕生。ティンヤになつき始める。しかしその雛鳥は驚異的な進化でティンヤの姿に近づき、ティンヤの周囲に危険を及ぼす。

一見B級のホラーに見えて、社会風刺の側面が強い本作。ティンヤに似ていく謎の生物が恐ろしく見えつつも、一番怖いのは母親。家族を蔑ろにして自分中心の生活。夫も娘も息子も自分を優雅に見せるアイテムのような存在でしかない。その虚像を究極の変化球で見せてきます。

なかなか胸糞悪さが溜まる内容ですが、こういう社会問題を敢えてモンスタースリラーをベースに描くのも珍しい。北欧映画らしさが存分に出た作品だと思います。
ハレルヤ

ハレルヤ