優生思想真っ只中の時代。
同性愛者であるだけで罵られ、国から罰せられる非人道的な時代を描いた本作。
何度投獄されても信念を貫き続ける主人公の強さ。
自由は与えられるものでなく掴み取るものであるなら、彼は限りなく近いところにいたと思う。
断続的ではあるけれど、20年近くを絶妙な距離感で共に過ごしてきたハンスとヴィクトール。
関係性に名前をつけることが陳腐な時って偶にあるけど、長い年月をかけてそんな関係を手に入れた彼らを素直に羨みました。
すきな作品の中に、
「自分らしく生きるということは、孤独を引き受ける覚悟を持つということ」
という台詞がありますが、彼はどれほどの覚悟でこの数十年を生き抜いてきたのだろうと想うと余韻が抜けません。
何が自由かなんて人それぞれですね、好きなラストでした。