ちょっと信じがたいことだが法律で同性愛が禁止されている国がある。考えれば考えるほど「いやそれ誰の迷惑になるん…」と不思議なのだが、マジで法律で取り締まってる国がある。
ドイツもかつてはそんな国の一つだった。ドイツ帝国が1871年に制定した刑法175条は男性同性愛を禁じていた。ナチス・ドイツはユダヤ人やロマと一緒に同性愛者も絶滅収容所に送り込んだ。戦後も西ドイツでは175条が維持され、わざわざ同性愛者が集まる公衆トイレに隠しカメラを設置して逮捕していた。1973年に罰則が緩和されて収監はされなくなったが、統一後の1994年になるまで撤廃はされなかった。
主人公が「東ドイツに逃げよう」というシーンがある。驚いたことに東ドイツは共産党が一貫して175条に反対しており、1950年代に罰則が廃止されていたのだ。鉄のカーテンの向こうから人々が逃げてくる時代に、男性同性愛者だけはカーテンの向こうのほうがマシだったわけである。