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まなみ100%のmanamiのレビュー・感想・評価

まなみ100%(2023年製作の映画)
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100%、タイトルきっかけで鑑賞。
その「まなみ」役・中村守里は『アルプススタンドのはしの方』で優等生役だった子。主人公の「ボク」を演じる青木柚は今なら、『最高の教師』でのあの浜岡役が一般的な印象だろう。
「ボク」が「まなみちゃん」に求婚し続ける10年間、という触れ込みだけど、高校3年間を微妙な距離感で過ごした後、浪人・大学時代は接点がなく、久々の再会後も頻繁に会ったり積極的に連絡とったりするわけでもなく。
特に大学時代は、ずっと会ってなくて「まなみ0%」の状態にも関わらず、「ボク」は「ボク」で十分忙しそうなのよね。無自覚サークルクラッシャーしておいて他のメンバーが参加しないことにイラついたり、全女子を敵に回しそうな扱いをくろけいちゃんにしたり。監督の自伝的作品らしいのに、よくここまで自分の好感度下げるような暴露話ができるもんだと、妙に感心してしまうレベル。
あと、映画サークルでいつもヘッドフォンつけてた人が(大学生には見えないけど)ちょっとかっこよかった気がする、と思って公式サイト見たのにクレジットされてない!コンビニバイトの先輩ですら役名あって役者さんも紹介されてるというのに。誰だったんだ、あの陰キャさんは〜とモヤモヤしてたら、パンフレットにてようやく発見。トゥートルチェ山北さんという方でした。スッキリはしたものの、本業は映像ディレクターらしいから、今後はもう画面に映ることはないのかな。
それからキャストで言うと、慣用句・四字熟語好きの器械体操部顧問、オラキオにしかできない役だね!キレッキレの動きがあまりにもさすがで、全然笑うとこじゃないのに吹き出しそうになったよ。
部活仲間の二人も、鼻につかない最適な濃さのキャラが良い。そりゃあの二人といたら楽しいだろうね、デートの約束忘れちゃうのも分からないでもないわ。
ただし「ボク」に対しては、大人目線かつ女性視点で言うと、髪切れば許されると思うなよ、と忠告はしたいね。しかも坊主とかでなく短髪にしただけかい、っていうね。
卒業後の「ボク」の立ち位置はふわっとした描き方だったけど、定職には就かず、リアルの前作『満月の夜には思い出して』を撮ってた、ってことなんかな?
ガラケーからスマホになっても、同じ服をずっと着続け、まなみちゃんにも想いを伝え続ける。「ボク」から「まなみちゃん」への言葉は「付き合って」じゃなく「結婚しよ」。彼にとってはそれが、他の女の子達とまなみちゃんとは違うという愛情表現だったのかもしれない。でも彼女にとってはそれが、「ボク」は「まなみちゃん」を自分のものしたがってるけど、「ボク」は「まなみちゃん」に縛られる気はないという、何よりの証拠に感じられたんじゃないかな。
二人が一晩を共にするシーンは「そりゃないよ、残酷すぎるよ」と戦慄する人(特に男性)多いだろうね。私も最初は、かわいそ…って見てたけど、お葬式の話を始めたところで、彼女はこれを聞いてほしくて、そのためにはこうするしかなかったのかも、と思った。
ただ、彼女があんなに打ちのめされるほど、瀬尾先輩と親しかったの?高校時代に二人が絡むエピソードとかも描かれてなかったから、説得力には欠けるよな。
それから演出で印象的だったのは、誰も言葉を発さない、ほぼ無音状態の時間が何度もあること。なんだかすごく自然体というか、私は好きな時間だった。
あとは列挙。猿語の微笑ましさ、猿ポーズで写真撮る中村守里の可愛さ、合唱曲『虹』の素晴らしさ、映画はつまらなかったのにそんな関係になっちゃう唯ちゃんのたくましさ。そして写真撮るときに体操決めポーズで揃える三人➕顧問のドヤ顔。上映時間も、100分。

124(1154)
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