[] 80点
1934年に発表後に当局から即上映禁止を食らって、長らく散逸したと思われていたが、2018年にモスクワ映画アーカイブから出土し、ジョージア文化省や国立映画センターなどの尽力によって元の状態に戻されたという歴史を持つ。ソ連初の女性監督による長編映画らしい。ジョージア西海岸のミングレリアには古くから湿地が広がっており、底なし沼やマラリアが存在する過酷な土地だった(ウジュムリとはそこにいる嫉妬深い女神の名前、気に入った男を引きずり込むらしい)。ソ連はそんな土地を埋め立てて安定をもたらそうとするも、先祖代々受け継いできた土地だぞ!とする地元民の反発を招く云々…という、この時代のソ連によくあった構図の作品ではある。ただ、冒頭から牛が沼にハマって死んだり、運び出される土砂と招かれざる客への食事の運び出しをクロスカットで重ねたり、脚本にドヴジェンコも参加したらしく、『大地』みたいな仰角ショット(ちゃんと地平線は画面下スレスレ)とか超クローズアップとか多用したり、ひたすらパワフル。神話/民間伝承の具現ということでパウル・フェヨシュ『春の驟雨』とかドヴジェンコの『ズヴェニゴーラ』っぽくもあり。特に終盤の展開が良い。LBのポスターにもなってる、泥まみれの主人公のビジュアルが良きです。