若大将オーウェン

NOPE/ノープの若大将オーウェンのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

グランドシネマサンシャインIMAXレーザーで鑑賞。

ファーストショットから説明してしまえばネタバレになってしまうという感じの映画。もちろん分からないところや整理できてないところは多いんですが、初見の感想を熱いうちに徒然と書きます。(長いよ)

これはホイテ・ヴァン・ホイテマによる美しいIMAXカメラによる撮影を堪能する意味でも、作品のテーマ的にも出来る限りIMAXで見るべき作品でした。

この作品のテーマは「スペクタクル」と「映画」そのものだと思います。いわゆる映画についての映画でした。

それは劇中で「最初の映画」と説明される馬の連続写真からも分かります(どっちかと言うと映画の始祖という感じだと思いますが)

その馬に乗っていた黒人騎手が劇中では主役兄妹の先祖だとなっていましたが、実際の史実では誰か分からないそう。つまり消された歴史です。

そもそも馬の連続写真を撮るために、撮影したマイブリッジはカメラを新たに作りました。「馬が空中に浮いているか?」そのスペクタクルを撮るために開発し、映画は生まれたのです。

その最新形がIMAXカメラであり、撮る対象はモンスター化したUFOなのです。

またラストショット(付近?)でOJが砂煙の中、馬に乗って現れますが、それは劇中の連続写真の馬に乗ったお爺ちゃんと重ねられています。

最初の映画のスペクタクルである馬を調教した先祖と同じくOJはUFOを調教したということでしょう。

リッキー(スティーブン・ユアン)が見上げてカウボーイハットを落としてからUFOの口の部分を映しはじめたと思いますが、UFOは見るからにカウボーイハットに重ねられています。

OJやリッキーはカウボーイで、白人のカウボーイが出てこないのが面白い。西部劇といえば白人のカウボーイしか描いてこなかったのに。

そういったスペクタクルやこれまでの映画に対する挑戦がジョーダンピール最新作だったのでしょう。

舞台設定もまさにスペクタクル。

ロングショットが多いし、本気で声を張り上げないと聞こえない距離感での会話

家で爆音で音楽を流すなどなど

またUFOのことを確か「ヴューワーズ」と言ってましたが、それは観客のことです。もしかしたらもっと大きな射程で、これまで歴史のマジョリティ側が重ねられてるかもしれません。スペクタクル欲しさに残虐なことも欲してしまう、許してしまうという皮肉です。

それは話の筋的にはあまり関わってない子役時代のリッキーの「ゴーディ」というチンパンジーの話にも通じます。

あの辺は特にまだ整理できてませんが、チンパンジーとアジア人が番組においては同じような立場であったのは分かりました。

殺されたのは全員白人でした。だからこそゴーディはリッキーに危害は加えず、グータッチをしたし、あのスペクタクルを目撃したのはリッキーだけです。

猿の撲殺というと「2001年」を連想させますが、あれも映画史に残るスペクタクル映画です

しかも面白かったのは、ゴーディに怯える(実際マジで恐怖シーン)子供のリッキーが、靴が立ってるのを見てちょっと笑っちゃうところでした。

あれはホラーとコメディは紙一重というジョーダン・ピールの作家性を象徴したシーンのようにも思えます(プロダクション名もモンキーポーだ)

そもそもクライマックスの目的がUFOを倒すことではなく撮影するという愛すべき映画バカたちの話でもあります

シーン的には子供が謎にOJの牧場に来てイタズラするシーンがめっちゃ怖かったし、ゴーディのとこがさっきも書いたけど一番ドキドキした

しかもファーストシーンの意味が中盤でわかる構成になっててゴーディが最終的にこちらを見るというのが分かってるという恐怖演出

IMAXカメラでセットの中にどんどん入っていくところも良かった

後はIMAXカメラでバイクや馬の疾走見るだけで気持ちがええ

キャラも伝説のカメラマンしかり、電気屋の兄ちゃんしかり良かったですね

ジョーダン・ピールの映画愛であり挑戦の「NOPE」!

このネタバレ感想見た人はもう見た人だと思うけど、絶対映画館で観るべし!

UFOを見上げるという行為もモチーフのひとですが、それを意図したIMAXでの撮影を堪能する意味でも出来ればIMAXで