エニワンセノービ

僕らをつなぐもののエニワンセノービのネタバレレビュー・内容・結末

僕らをつなぐもの(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

同性カップルの子育て、となると気になるのはやはり子供の気持ち。後ろ指を指されながらも真っ直ぐに育ったレオネはシモーネとパオロの自慢の息子だが、そんな幸せな家庭が壊れていく様子、そしてその行く末を描く。

はっきり言わせていただくと、コメディタッチに大人たちが醜さを見せつけてくる作品。浮気して家庭を壊すシモーネ、感情のまま暴走するパオロ、結果的に托卵しているティリー、二枚舌なエリザ(アンナとダリオの母)。

レオネからしたらとんでもない話で、信じているはずの家族愛にも、ぼんやり感じていたはずの血縁にも繋がりを見いだせず、宙ぶらりんにすらなれない彼の孤独の高まりは命綱のないクライミングという形で視覚的に表現されている。そこから救ったのは見ての通り友人たちで、彼自身の誠実さの賜物。ここまで拗れた家族関係も愛は本物だからこそ収まりがつく。

とまぁ問題のある家族ではあるのだけど、残念ながらこれらの問題は異性間にも起こりうる話で、逆説的に同性愛を肯定する話です。制度や偏見に煽られても、きちんとそこに愛はある。特に、意図せずともレオネがダリオにもたらした勇気は凄まじいと思う。彼が両親の愛の結晶なのは紛れもない事実なのだから。