このレビューはネタバレを含みます
父を亡くし、母親との関係もうまくいかず、恋人のピーターともなあなあな感じになっているサラ。
そんなサラは、ある日大病を患い、余命幾ばくもないことを宣告されるが、残される恋人と家族のために、自分のクローンに生前の習慣を覚えさせる「リプレイスメント」を実行することに。
クローンは「ダブル」と呼ばれ、母親やピーターとも親密になっていくが、10ヶ月後に、なんとサラの病気が完治する。
そこで、ダブルを廃棄することにしたサラだったが、自我が芽生えたダブルは廃棄を拒否。さらに母親とピーターもダブルの積極性を気に入ってしまう。
こうして、サラとダブルのそれぞれの存亡をかけた決闘が行われるのだった!…1年後に。
というわけで、物語のほとんどはサラがダブルを決闘で殺すための修行シーンで、話はなかなか進まない。その修行内容も役に立ってるんだか立ってないんだか…。
そもそも余命幾ばくもないって言われてから10ヶ月は生きすぎじゃない?その間に病気の進行は幾らでも確認できると思うんですけど…。
そして、いよいよ決闘だぜ!と思うじゃないですか?
今までの流れは何だったの?という結末を迎えます。またアルバトロスのジャケットに騙されたぜ…。
とにかく、倫理観がぶっ飛んでる世界観で、わずか1時間でクローンを作れちゃうせいか、人命が軽く扱われており、決闘もTV中継される始末。
そもそも決闘までに1年の猶予があり、かつその間は援助もされるなど、クローンというタブー前提の世界観が不気味で怖い。
作中でサラが「殺し合いしないで一緒に生きていかないか?」なんて事を言ってるけど、まあ、同じ人間が2人いられるわけないですよね。
なので、結末的には納得出来なくもないんですが、求めてたのは違うんだよなぁ…。
疑問なんだけど、ダブルが車の運転すらままならないって事は記憶は引き継がれてないってことなのでは?
それは果たしてダブルを残す意味はあるんだろうか?
死期が近いことを証明できる人しかダブルを作成出来ないということなのだが、普通はクローンを作っておいて、記憶を移すなどしてからオリジナルを破棄するという流れが正しいのでは?
まあ、これだとありがちな設定になっちゃうから一捻り加えたのだと思いますが、とにかく最後の盛り下がり加減はスゴかったです。
なぜか無音で文字がスクロールしていくエンディングが下手なホラーより不気味でした。背景の森が不安感を掻き立てる…。