TKE

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

米国のホラーゲームを映像化したホラー映画。
実際のゲームはとあるピザ店の警備室に引きこもって迫りくる謎の殺人着ぐるみを近づけないように立ち回るタワーディフィンスのようなスタイル。
それをどう映像に落とし込んだのか?

先に申し上げますが、がっつりホラー好きな方は肩透かし食らうと思います。


以下、ネタバレあります。



マイクは幼い頃に目の前で幼い弟が誘拐されるところを目撃して以来、事あるごとに悪夢を見てはトラウマに悩まされていた。
母は亡くなり父は失踪、今は妹のアビーと二人暮らしをしていたが、仕事が長続きせず関係性も悪化してきていた。

ショッピングモールの警備員をクビになり、いよいよ仕事が無くなったマイクは潰れたものの建物が残されているという「フレディーズ」というピザ店の夜間警備を紹介される。
最初はアビーのためにも夜勤を避けていたが、補助金目当てでアビーの親権を狙う叔母からの圧力もあり、仕事を始めることに。
そこにはかつてのマスコットキャラの5体のロボット人形が安置されていたのだった。

警備を始めると女性警官のヴァネッサが訪れ、かつてこのピザ店で子どもの失踪事件があったことを教えられる。
マイクは仕事を始めるが段々と不可解なことが起こり始め…。



最初に言ってしまうとかなり期待外れでした。
ホラー映画として色々なものが足りず、逆にいらないだろ…というものが多かったです。

「殺人人形に襲われる」というところが肝なのですが、当たり前のことですが主人公がやられたら話が続かないので他の方が犠牲となります。
…が、これがまた取ってつけた感が凄い上に強襲シーンに全く恐怖を感じられません。

気づいたら目の前にいる…という事が多く、迫りくるという恐怖が皆無です。移動方法も何かスライドしている感じで基本的に動きはスローモーで、そのゆっくりした動きをカバーするためにトラップを仕掛けたり武器を使うといった事があるわけでもなく、追い詰められてる感は皆無でした。

そして、実際の殺人シーンも肝心なところはシルエットのみで血すら見えないので残念でなりません。

そもそも人形のデザインが子供向けで可愛らしい(?)感じなので、恐怖感を演出するなら徹底的に制御出来ないロボットにするか、ロボットなのに生々しい感じがするとかして欲しかった。
「クリスマス・ブラッディ・クリスマス」辺りを見習ってほしい。



そして、ゲームの外側としてかなり分かりづらい人間ドラマをぶち込んできていますが、個人的には本当にいらないと思いました。
一応、トラウマの元である弟の誘拐やフレディーズでの失踪事件、なぜロボットが人間を襲うのか…という部分に絡んではくるのですが全部中途半端。
「多分こうなんだろう」みたいな事が多すぎて消化不良感が凄かったです。
夢のくだりとか分かりづらすぎる。

結論から言うと、フレディーズの店長がかつて子供を誘拐し殺しては人形に埋め込んで隠していたようで、その影響か子供の霊が人形に憑依し店長の邪悪な思念によって操られている…という事みたいです。
なので思念外であれば子供と仲良く遊んでくれたりするんですが、見てると「何それ?」状態です。

タダの殺人鬼が子供を殺してたら言う事聞く人形が出来たからよく分からんけど使役するか…みたいな感じになっており、最後の逆転劇みたいな流れも「???」で、本当にそれでいいのか?となりました。
どうせなら店長が邪悪な黒魔術を信仰してて子供を攫っては生贄として捧げ、殺人人形を作り上げて夜な夜な人を殺してた…くらいのぶっ飛んだ感じにすればいいのに…。



現在、オリジナルの方で「なんで人形が動いて人を襲うのか?」という部分には言及されていないようなので、その部分を広げて話を作るのはいいと思います。思いますが作り込みが甘すぎた印象です。

同じテーマでニコラス・ケイジ主演の「ウィリーズ・ワンダーランド」の方が個人的には圧倒的に好みでした。

セットの作りや造形は素晴らしく、ゲームの世界観を見事に再現していたとは思うのですが、見たかったのはそこじゃないんだよなぁ…というのが率直な意見です。
また、全体的に暗すぎて何が起こってるのか分かりづらいです。

ただ、グロ要素はほとんど皆無なので、ホラー初心者の方やそもそもゲームを知らないという人は先入観無しで見れてよいかもしれません。
TKE

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