短編ながら体温あるラブストーリー。
この人のどこをどう好きになったか、とかはスッと飛ばしてあったので、恋愛の機微より、見える/見えないの壁ではない、閉じていく視覚で何を観るのか、に視点があったと思う。
スヨンが白杖を出した時、親切をしようと腕を持ったり頬を触ったりするおばさんが出てきます。
あれは視覚障害者の方々の多くが遭遇するハラスメントを詰め込んだシークエンスで、声をかける前に触る、は厳禁。
とても怖い思いをされるそうです。
どれだけ親切心があっても、突然手を引っ張ったり触ったりは誰だって怖いはずなのに、「相手が視覚障害者だから親切にした、」でその恐怖が無効化されてきたわけで、差別が下地にあるんです。
いま、テクノロジーが発達して拡張身体としてのテックも倫理と実用が進んでます。
当事者のみなさんが音声入力をつかいSNSに投稿することで、当事者の声に触れる機会が増えたり。
このショートムービーも主演が用いていた視覚補助スコープのPRが入ってるそうです。
見える人、動ける人、現代社会の生活ではいわゆる健常者用の都市設計になっているので、テックで助かるならそれもいいと思います。
でもまだまだ、駅のエレベーターで車椅子の人を通さない人がいたり、価値観や行動で辛い思いをされています。
いつも不利を被る方しか気づけないことがたくさんあります。
健常者も社会の不備や覆われている差別、隠されている差別を知って
お互いに快適な社会をつくっていきたいものです。
「後ろに振り返って、10歩進んで」