【そいうとこなんだよ!わかる?な感じ】
・すぐに暴力で解決をしようとし、それが上手くいかないと「自殺をしてやる」と脅迫し「謝罪のチャンスをくれ」と封じ込め、その理由を「愛しているから」とがんじがらめにする。
そんな憤りが爆発した作品(たぶん)。
・『エクス・マキナ』や『アナイアレイション』でも感じた背景や音楽の使い方(叫び声と同じキーでSEが流れたり)が、やっぱり秀逸で美しかった。
特に序盤の苔むした深緑や廃トンネルのシーンは何かのPVのようで、危うげな印象を漂わせながらもうっとりする。
・テーマは意外にシンプルで、捉え方はそのままで良いと思う。
ただ、後半の難解さで「分かったけど分からん」状態に。
今作を初見一発で全て何もかも理解するのは到底無理だと思う。
で、話題のグロ表現で考えていた事が、さらにぶっ飛んでしまうとか笑
(個人的には美しいグロはグロではないと思っているので、今作は然程ウエーッとはならなかった)
・どちらにせよ衝撃的だったし、美しい映像作品だったと思う。
また、世の男性諸氏に色々考えさせようとする意図が明確な映画だった。
—以下ネタバレ有り—
—ネタバレ 箇条書き—
(勝手な印象です。見当違いは多分に含みます)
・リンゴ
ハーパーは勝手に食べてしまう→アダムとイブ「男と女の間に生まれた原罪の始まり」
・同じ顔
嫌悪と恐怖の対象(トラウマ)に個性等は無く、皆んな一緒になってしまうというアイコン。
「俺は違うよ」を受け入れられなくなる。
(個人的にあの顔、ハーパーに寄せているようにも思えた)
・教会
キリスト教は父性であり、男そのもの。
基本男尊女卑な教えだし「女は男をたててこそ」って思想が今も根強い。
と言うか、それが教義。
で、そこに仕える神父ですら「自分に非が無いと思ってるん?」と言いながら彼女の脚に触れ、ベンチの温もりを確かめたり。キモ過ぎ。
・2つの像と葉っぱ男
生と死の二面性。樹木信仰?
・タンポポの綿毛(種)→精子、精液。
※タンポポは受粉しなくとも種を作ることができる。
・神父→救いのはず→罪を負わせる
・警官→守護のはず→無関心
・管理人→安心のはず→恐怖
・子供→純粋なはず→幼稚
そして、全て居心地の悪い物言いと視線。
性根にある、見え隠れする女性に対する軽んじた姿勢。
女性警官だけは、やたら親身で優しく描かれている。
・モンローのお面
セックスシンボル。
性の商業化。
・マトリョーシカ→終わらない男性優位な思考。
女性の痛み(産みの苦しみ)の恐怖。
最後に産まれたのがジェームズなのは、そのトラウマの元凶と、その彼の子を『出産しなければならない』と言う圧。
・駆けつけた友人が妊娠していた
ジェームズとハーパーが揉めた理由の一つに、子供を産むか否かがあった(たぶん)。
ハーパーは出産に対し恐怖感があり、それが原因で喧嘩→暴力→死→トラウマ。
今回、その全ての象徴から解放された。
友人の妊娠にも微笑んで祝福を贈れるであろう…みたいな。
—〆—
いずれにせよ、物語はハーパー内で起きた妄想のように感じる。
夢オチでは無いが、出会った男達に嫌悪感を抱きつつ管理人を轢き殺したところまでは現実だとか?
ただ『捉え方、見方は各々自由です』な作品なので、明確な答えは無いのでしょうね。
ちなみにマトリョーシカのシーンは日本の『進撃の巨人』からヒントを得たとか。
なんか分かる気がする笑