青の

落下の解剖学の青ののレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
【 坊主のサンタクロース 】

山荘にて旦那が落下死。
弱視の息子と飼い犬が遺体を発見し妻が通報。
事故か自殺か事件か。
妻は容疑者として起訴されるが…。


・劇場で見られた方、この内容で2時間半はさぞかしキツかったのでは?
自分はアマプラで視聴しましたが、何度か休憩を入れてしまいました笑
(そして連続2回見ました)

・ただ、あくまで個人の感想ですが「面白かった」です。
なんせハリウッドではないので「よくある法廷劇とはならんやろな」と予想はしていました。
その通りで、そっちのイメージで期待をすると肩透かしを喰らうかもしれません。
それに気付いて見方を変えたら、ちゃんと楽しめました。

・あと、自分は独身ですが、ご夫婦で見た方がいたらどんな感想になったか聞いてみたいです笑

★以下、決定的なバレはありませんが事前情報無しで見たい方は読まないで下さい
































【 事前情報無しで見たい方は読まないで下さい 】

・他の方が言うように、ミステリーでもクライムサスペンスでもありません。
あえて当てはめるなら、モキュメンタリー風/再現ドラマ風/家族劇かな?
(アメリカ版ポスターデザインの所為で、ミステリー&サスペンスな印象に?)

・痛快な追い込みや詰めも無いし、検事vs弁護士の論戦も淡々としたものでカタルシスとは無縁。
つまり、スカっと解決!「正義は我にあり!」って感じでは無い。

・決定的な証拠も証言も無い。
録音データや落下実験、彼女が執筆した小説の内容、普段の夫婦生活まで全てが法廷で開示されるが、やはり「そんな彼女だからやったに違いない」「んなもん証拠にならん」の域を出ず、裁判はひたすら「かもしれない」が繰り返される。

あれやこれやと参考資料が出て来るが、我が子や大勢の傍聴人の前で知られたく無い夫婦間の問題や秘密や嘘が公になるだけで、まったく真実に近付かない。
真実どころか、既に夫婦間には埋まらない溝があった事も知られる事に。


・結果は伏せるとして、今作は『謎解き』ではなく、この法廷を通して見る夫婦の(在り方の)解剖であることが分かる。
夫の想い、妻の想い、子供の想い。
はたして、それぞれに寄り添っていたのか?





・ちなみに、今作の監督は女性で、過去作を調べると(見てなくてすみません)ミステリー畑というよりコメディが好きなようだ。

またインタビューではコロナ禍により外出が制限され、旦那(彼もアーティスト)とアパートに引き篭もることになり、夫婦仲が険悪になったそうだ。
この経験が今作に繋がっているとか。
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