旅するランナー

不思議の国の数学者の旅するランナーのレビュー・感想・評価

不思議の国の数学者(2022年製作の映画)
4.7
【Q.E.D.証明終了】

脱北して隠れるように暮らす天才数学者と、落ちこぼれ高校生の交流を描きます。
韓国における受験戦争と、朝鮮半島における戦時体制を背景にして、
π(円周率)ピアノ曲と、バッハ/無伴奏チェロ組曲第一番プレリュードが心にしみじみ浸透して、
不思議な師弟愛に魅了されます。

僕も高校数学で挫折した学生でした。
出題者の意図を見極めるところまではできたんですけど、
数学的勇気を持たせてくれる教師に出会うことは無く、
数学の楽しさ・美しさに目覚めることは叶いませんでした。
そういう意味では、これは受験生に見てほしい映画です。

それにしても、チェ・ミンシクによる説得力のある演技が光ります。
「シュリ」以来22年ぶりに北朝鮮の方言を使いこなしたそうです。
そういう意味では、これはチェ・ミンシク名優説を証明する映画でもあります。
Q.E.D.