オレオレ

Emily the Criminal(原題)のオレオレのレビュー・感想・評価

Emily the Criminal(原題)(2022年製作の映画)
3.0
わー、こういうシチュエーションの若い子、いっぱいいるんだろうなー。
アートとか文学とか、即キャリアに結びつかない学位を取り(主人公は中退)、定職につけず、学生ローンは膨れ上がるばかり。
エミリー(A.プラザ)は過去に暴力事件を起こした犯罪歴からますます定職につきにくく、ケータリングの仕事をしながらいまだにルームメートと暮らしている(明らかに経済的理由から)。
アートで身を立てたいエミリー、「アート」の震源地、LAから離れることはできないし、かといって、いくら業界とはいえ、無給のフルタイムインターンを数カ月やる余裕はない。
頼れる親は3千マイル離れたところに住む義理の父親のみ、かろうじて車は持っているものの、稼いだお金はローンも元本ではなく利息をまかなう程度。
立身出世、アメリカンドリームといいながら、ミレニアル世代の大半の現実は多かれ少なかれ、こんなもんではないだろうか。

そんなエミリーに、ケータリングの同僚が現金ベースのちょっと怪しい仕事を紹介する。
盗難クレカで購入した商品を転売する犯罪者集団の末端、「購入」の部分をやるという仕事で、違法ではあるが身の危険はないという元締めヨセフ(T.ロッシ)と2百ドル即金、に惹かれて仕事をするエミリー。偽造クレカと同じ名前の運転免許証も渡され、家電量販店でテレビを買うと、200ドルがあっさり手に入る・・・
さらに大きな仕事や偽造クレカの製造装置まで渡され、ヨセフのグループの孫請けのような仕事をし始めるが、グループ内の諍いに巻き込まれ・・・

エミリーがとにかくタフ。
就職面接で、だまし討ちのように過去の犯罪歴に言及された時も負けてはいないし、殴られた後でもペパースプレイ一本で立ち向かう。
とにかくお金と過去の犯罪歴とで苦労してきており、引いたら負け!というスタンスが骨身に染みついているんだろうなあ。
後半、案の定どんどんヤバい展開になって行くが、エミリーの取った行動に「そう来たか!」と思いつつも「エミリーなら」とも思わせられる。
そして最後の最後も・・・

それにしてもこのクレカ犯罪、誰が結局損を出すんだろうか。
カードを盗まれた方は付帯保険とかあるだろうし、商品を売った方は代金は貰ってるわけだし。
正直、大型TV程度の詐欺なら警察は動かないだろうから詐欺グループもその辺を見込んでいるんだろうし。
とりあえず、映画を一時停止して、自分のクレカと銀行口座の履歴チェックしましたけども、(笑)