みなと

永遠の831のみなとのレビュー・感想・評価

永遠の831(2022年製作の映画)
2.9
情報操作、搾取、既得権益、正しさの在り方など、今日の世の中を風刺した作品であり、またボーイ・ミーツ・ガールな物語でもある。政治的に停滞した世の中を(宿題の終わらない)8月31日を繰り返していると表現。時を止める力がある主人公2人。その構図と物語の骨格は面白いのだが、上手くSF要素と社会風刺をエンタメに落とし込めていなかったから印象であった。
最後スズシロウがモノローグで説明するエピソードを物語として描けば良かったのではないか?と素人ながらに思ってしまった。
831戦線の行動も今一つパッとしないし、劇場型犯罪といいつつ、なずなの能力ありきなのにはどうなのよ?とツッコミたくなった。
というか、スズシロウもそうなのだが、時を止めてやることが、それ?と能力の使い方についての描き方にモヤモヤ。
芹の行動は、己の目的の為に己自身が選択して行動しているように見えるが、内実、その行動さえも既得権益を享受している人たちの掌で利用、踊らされている感があるな。芹自身それを織り込み済みで行動しているかは不明だが。
テーマ自体は興味深いし面白いと思うのだが、全体の構成、エピソードが盛り上がりに欠けるし、上手く料理出来ていない印象であった。
スズシロウの過去のくだり(同級生の会費の私的利用)について、学校という小さな社会でも、世の中と同じことが起こる、亜川兄妹の過去とが対になっているのは良かった。

あとCGのクオリティはどうにかならなかったのだろうか?
ずっと何か計算しているの?と質問したくなるぐらい、人物がこ刻みに動く。(特に双六さんが朝食するシーンの手、箸の動きが気になりすぎた)
過剰な演技(身振り手振り)や不自然な歩き方など。

音楽はどれも良かった。
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