のんchan

イル・ポスティーノののんchanのレビュー・感想・評価

イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)
4.2
11月には4Kリマスター版で公開されますね。
でも画像はそこまで悪くなかった。

祖国チリを追われた詩人パブロ•ネルーダが亡命してナポリ湾のカプリ島に身を寄せていた史実に基づき脚本されている。


漁師を父に勧められても船酔いすると断り続ける内気なマリオは、文字が読めるからと郵便配達の仕事に就く。
毎日、丘の上に住むパブロの隠れ家へ届ける内に今まで知らない世界を一つ一つ知る喜びに胸が踊るのだった。

マリオは少し図々しくさえ思えるが、なにせ無垢で無知という純粋さをパブロは好意的に受け入れて、"隠喩"がどういうものか?を教えたり、海辺で会話したり、2人に友情が生まれていく...
そして、島の美しい娘ベアトリーチェに恋したマリオはパブロから少し手解きを受けた隠喩を使ってベアトリーチェに近づくのだった。
やがてマリオとベアトリーチェはパブロに介添人になってもらい結婚するが、パブロは島を去る日がやってくる...

美しい海、白い波、青い空、貧しい田舎の暮らし、何もないところで文学と特に"詩"で満たされていく青年の成長。

パブロが美しい妻やベアトリーチェと踊るダンスは上手くないけど味わいがある。

感動と悲しみの両方が押し寄せるラストも印象的。


『ニュー•シネマ•パラダイス』のフィリップ•ノワレが優しみ溢れるパブロ(実際はもっと派手で豪勢な遊び人)で柔らかな表情が素敵でした。

マリオ役マッシモ•トロイージは撮影終了した12時間後に死去(もともと心臓の病があり、ノワレから励まされながらの撮影だった)その弱々しさが役に似合っていたのは皮肉。

マリア•グラツィア•クチノッタの美貌が眩しかった。

身分や知性は関係ない男の友情物語。
胸が熱くなりました。
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