深田晃司監督の作品は「淵に立つ」「よこがお」
以来の3作目だったが、残念ながら前2作ほどの感銘を受けることは出来なかった。
危ういバランスの上に成り立っていた再婚夫婦（木村文乃と永山絢斗）の関係が、ひとつの出来事により、崩れそうになっていく。
夫の両親、妻の別れた夫、夫の元カノなどが、それぞれの思惑を見え隠れされて、作品全体に不穏な空気を漂わせる。だが肝心の夫婦の中にさえ本心が見えないところがあり、誰一人スッキリと共感を誘う者はいない。
それでも良い面と悪い面を併せ持つ人間の本質や好きと嫌いが一瞬でひっくり返るところをオセロ○●を使って表現する演出は上手いと思う。
元々がボタンのかけ違いだった様なこの夫婦が、予期せぬ大きな喪失を受け入れて再生していくことはできるのだろうか。
