このレビューはネタバレを含みます
きちんとまとまりのあるお話で非常に感動した。原作未読。
7人が集められるのが周りを海に囲まれた孤城とゆう舞台設定が、全員が中学でイジメに逢い孤独を抱えている心情のメタファーとして上手く機能していて秀逸。
散りばめられた伏線(ストロベリーティー、ゲーム、ルーズソックス、オルゴール、リオンの母が作ったケーキなど)が分かりやすいのは元々原作が中高生向けに書かれているのもあるのだろう。
反面、冷静に考えると終盤でオオカミさまの正体(亡くなったリオンの姉の幼き頃の姿)が病室に飾っていたドールハウスが孤城そのものであることが明らかになるのだが、その姉が案じている弟のリオンではなくて「こころ」中心に展開されることが引っかかる部分もある。
それだけでなく、リオンと後に明らかになる全員と将来的に関わりを持つことになるフリースクールの喜多嶋先生の少女時代の姿であるアキ以外は、時間軸のズレた同じ中学に通っているとゆう共通性だけしか描かれておらず、そもそもオオカミさまことリオンの姉とどうゆう関係性があるのかが見えてこないし、せっかく時間軸のズレとゆう設定があるのならそれぞれが現実世界で何らかの形で関係性があるように描いて欲しかった。
ラストの記憶を無くしたこころの描写などは大林宣彦監督の【時をかける少女】へのオマージュぽい感じはする。
ただし非常に優れた作品であることは確かで、さすが本屋大賞受賞作と思ったし出来れば原作を読んでみたい。
現在不登校の子達が観てもいいと思うし、大人になってかつての自分を俯瞰して見つめられる世代が観ても感じ入る作品ではあると思う。
監督は原恵一。良い仕事をされましたね。