久遠

神は見返りを求めるの久遠のネタバレレビュー・内容・結末

神は見返りを求める(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

相変わらず“今”を描きつつ、人と人を描くのが上手いなー!!と感心。構成と伏線は引き続き丁寧で、そのぶん割と展開が読めちゃうきらいもあるけれど、ムロさんとゆきのちゃんが各々幅広く緩急ある演技を魅せてくれるので、全く退屈せず!映画ポエム送るの身に覚えがある人多いのでは?笑

YouTuberの人物造形と動画が“世間”の偏見そのもので、笑うに笑えなかった。褒めてます!けど、ただ馬鹿にするだけじゃなく反転も見せるのが流石吉田監督!って感じ。中盤、丁寧さ故の鈍重さが見られたが、ここで終わらせないよ?と言わんばかりの後半に「なま夏」の系譜を感じた。

終盤の「しっぺ返し」は監督の仰った通り、ネット媒体が及ぼした災厄なんだろうけど、『空白』よりもテーマに対する誠実さを感じたかな。本人の責任はそんなにないよねとは思うけど。スマホバトル、お前が一番嫌いだよ三者会談、終盤の微かなラブ→リピート再生がお気に入り!!前半の多幸感も良いよね。

また、序盤から、ゆりちゃんはできる範囲で!と田母神さんに言ってるんだよね。だから、彼が彼女に愛情を与えれば与えるほど彼女は離れていくことを確かに暗示している。これって片想い想われ恋愛、推すと推される関係だけでなく、割と人間関係にありがちなディスコミュニケーションだと思う。「良かれと思って」というのが一番危ういのだ。

彼の“人の良さ”が自身にとって、人生におけるプライベートな部分の好転に全く役立たなかったことが悲しい。かと言って、承認を求めハンドルを切っても坂道を転げ落ちるばかりで。“やさしいおじさん”には優しくしようと思う映画でしたね...
久遠

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