久遠

ハングマンズ・ノットの久遠のレビュー・感想・評価

ハングマンズ・ノット(2017年製作の映画)
3.5
再見。多くの凶悪犯罪者がそうであるように、本作の主要キャラも「倫理観の欠如」というよりは実存が常識から大きくズレているだけなのだ。そのズレは自らの最低な行動で身を滅ぼした某芸人が得意とした笑いに転化されており、特に葬式シーンは「不謹慎な笑い」ではなく当事者たちは至ってマジメだがどう見ても可笑しい行為が生む「映画的な笑い」で楽しかった。そうした笑いと荒削りな作風が上手く合致した場面は面白かったのだけれど、大部分の“人々の善意”を露悪的にただ冷笑するシーンは稚拙としか言いようがなく「インディーズ暴力映画としては及第点を付けるが」と言うほかない。メジャーシーンでは、最低限のモラルを前提とした露悪的な表象と娯楽性に富んだアクションを兼ね備えた秀作を監督は産み続けているので、その前座としては充分とも言えるかな。
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