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シスター 夏のわかれ道の20052010のレビュー・感想・評価

シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)
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家父長制による圧倒的な男性優位と一人っ子政策という最悪の組み合わせに翻弄されながら大人になった主人公の安然(アン・ラン)と、事故で突然両親を失った幼い安子恒(アン・ズーハン)の姉弟。亡き両親のみならずまわりの親戚たちも家父長制を疑わず安然に犠牲を強いる。それを跳ね返して自分の道を行こうとする安然だが、弟への感情がめばえて苦悩する。一人っ子政策は中国に特有の事情だが、強固な家父長制は東アジアに共通し、他人事とは思えない。
最後、弟と生きることを選んだ安然だが、やはり自分を犠牲にするのか、自分と家族の幸福を両立できるのか、それは個人の意志や努力よりも社会のあり方にかかっている。「今までみんな苦労してきたのだから次の世代も」と続けるのではなく、「こんなのもうやめよう」と断ち切れば歴史が変わる。スイカを食べるシーンはその可能性を示唆している。
2024.5.13
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