20052010

異人たちとの夏の20052010のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
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叙情的な「尾道三部作」(新旧)を含め徹底して「死」にこだわり続けた大林監督作品の中でも、事故で不慮の死を遂げた死者がよみがえって生きる者と関わるストーリーは『あした』(1995)に少し似ている。
幼い息子を遺して先に逝った両親役の片岡鶴太郎と秋吉久美子が素晴らしい。特に終盤の今半(すき焼き屋)のシーンは親の無念と成長したわが子に再会できた喜び、再びの別れの切なさが伝わって泣けてくる。
その一方、主人公が関わるもう一人の死者の描き方は疑問で、特にホラー的なシーンは必要だっただろうか。この死者を「悪霊」として描くのは、大林の伝統的な女性観のあらわれか、原作(未読)に理由があるのか。
あと、主人公が結局一度も母の作る料理を食べなかったのはなぜだろうか。

マンションの管理人役の奥村公延は『快盗ルビイ』(1988)でも同じ役だったが、公開年も同じで、本作の方が2か月ほど先。
2024.4.11
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